京都二條園2077

かぐや姫以来、初?の京都のSF小説。2077年を舞台にした京ことばによる奇想天外なストーリー。毎週火曜日更新!!はじめてお越し頂いた方は、「第一章・第一話 その1」からお楽しみ下さい。
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第一章・第一話 その1「京の静かな昼さがり」丸竹夷二押御池 あぁ〜、ヒマやなぁ〜

 時は2077年春、京の都。
 とある昼下がりのことでした...。

♪まるたけえびすに おしおいけ♪

 昔ながらの商家が並ぶ静かな露地に、お馴染みのわらべ唄が微かに流れていました。
 
 古き良き都の風情は、ハイテクノロジー全盛のこの時代にもしっかりと受け継がれていて、心地よく響き渡る「京の通り名唄」は、あたりの町並みに柔らかく溶け込んでいました。 
 しかし、その「まるたけえびす」の唄を鳴らしていたのは、これがなんとも目にも痛々しいほどの鮮やかなメタリックグリーンのトラックで、その極端に丸みを帯びたデザインは一目で昆虫をモデルにした事がわかります。
 最近この町内にも度々出没するこのトラックの正体は、もっぱら古くなった家庭用ロボットを収集しては自社でレストアし、アジアやアフリカ等の諸外国に転売している中古ロボットの回収業者の車でした。近頃流行りのこの昆虫型トラック...。子供達の間では、わりに人気者ではありましたが...。

♪あねさんろっかく たこにしき♪  
スピーカーからの音楽に、マイクアナウンスが重なります。

えーっご町内の皆さま〜。たいへんお騒がせしております〜、こちらは〜ロボット回収でお馴染みの〜「関西ロボット販売」でございます。ご家庭で〜ご不要になられましたぁ「おそうじロボット」「お料理ロボット」〜または犬型〜・猫型〜・ウサギ型〜の「ペットロボット」などはございませんでしょうかぁ?ございましたら〜、トイレットペーパー、電子クレジットポイントなどと〜交換させて頂いております〜。特にぃ、74年製後期モデル〜、ウサオちゃんタイプのパールホワイトは、即決高値にて買い取り中でございますぅ〜。ウサオちゃ〜ん、おへんか〜。ウサオちゃ〜ん、あらしまへんかぁ〜。

 ちょっと鼻声のアナウンスは若そうな男性の声で、語尾を長く伸ばす独特の節回しが印象的です。この時代の子供達にはずいぶん新鮮で面白く聞こえるらしく、「で、ございますぅ〜。」等と、口まねをしている姿も見かけられます。また、21世紀初頭に生まれたおじいちゃん・おばあちゃん世代には、昔ながらのちり紙交換・古紙回収車と同じ節回しが大変懐しく聞こえるようでした。

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