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京都二條園2077

かぐや姫以来、初?の京都のSF小説。2077年を舞台にした京ことばによる奇想天外なストーリー。毎週火曜日更新!!はじめてお越し頂いた方は、「第一章・第一話 その1」からお楽しみ下さい。
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第一章・第四話 その6「家族、そして村田くん」 みな、おかえりやす!

 20歳前後と見受けられるその青年は、かなりの長身で、二條園の古い木戸を上半身をかがめるようにして入って来ました。店の中に入ると、店内ををめずらしそうに見渡していました。その姿はまるでスーパーモデルかハリウッドスターのようでした。
 しかし、非のうち所がない完璧すぎるその容姿のせいか、なにか他の人とは全く違った印象を輝斗は受けました。どこがどうおかしいというわけではありません。特徴がないというのか、気配を感じないというのか...。どうにも釈然としない何かを感じていたのです。

 青年は自分にむけられている視線の先に輝斗を見つけ、一瞬驚いたような表情をした後に、うれしそうににっこりと満面の笑みを浮かべました。

 一方、笑顔で見つめられた輝斗は『んん...?はて、前に会うた事があったかいな?イヤイヤ、こんな子いっぺん見たら忘れへん...。京子おばちゃんの孫っちゅー訳でもなさそうやし...。』と考えていると、当の叔母・京子が青年の側へ来て、彼の背中にそっと手をあて、輝斗と青年の顔を交互に見ました。

「輝ちゃん、紹介するわ。この子な、『村田くん』てゆーね。」
「はぁ、村田くん...ほぉ~お。」
やはり聞き覚えのない名前でした。

 しかし、村田くんと紹介された青年は、目をらんらんと輝かせながら輝斗のもとに近寄ってきたかと思うと輝斗の右手を両手でギュッと握りしめ、
「船長!! どうぞ、よろしゅーおたのもーします!」
と上下に激しく揺さぶり始めました。

『せんちょー? 船長? 船長てなんや?』
いったい何を言っているんだろうと考えていると

「おめでとう、輝斗くん!」
「おめでとうさんどす、輝ちゃん。」
「輝斗、たのむで」
「船長さん! せーだいおきばりやっしゃ!」
 その場にいた伯父、叔母、父、母の全員が次々に言葉を発しました。

『おめでとうて...? 
何をきばるんや...??
なにを頼まれたんや...???
船長てなんや...????
ワシが船長なんか...?????』
 
 村田くんに手を激しく揺さぶられ続け、もうろうとしてきた輝斗の頭の中は、さらにハテナマークの洪水であふれんばかりでした。
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