第一章・第三話 その2「輝斗おかえり」て、どちらさんどす?2008-06-03 Tue 16:02
『さぁ...、店帰ってからがまた大変や。色々と、せんなんしなぁ〜』
などと考えている内に、輝斗の車は二條園のすぐ近くにまで差し掛かりました。と、その時、急に彼はブレーキを踏み込んで停車し、辺りをキョロキョロと見渡しました。 なぜならあまりにも多くの人々が店の前を埋め尽くしていたので、一瞬道を間違えてしまったのかと錯覚してしまったようです。 「なんや!? なんの騒ぎや。皆、ワシの店の前で何してんにゃ?」 ざっと二〜三百人にはなろうかという人だかりが、二條園の前に出来ていたのです。 しかもそのほとんど全員が、空を見上げて指をさしているのでした。輝斗も皆が指さす空中をフロントガラスごしに覗き見てみると...。 「なんやアレ! なんであんなもん、宙に浮いてんにゃ?」 ふぅ〜。 驚いたことにそこにはなんと!およそ3世代程前のデザインと思われる水色がかったシルバーのジェット機のような物体が、微動だにせず空中停止していたのです。 しかもほんの10〜20m上空という至近距離...。二條園の屋根にのぼれば、簡単に手が届きそうな所にポツンと浮かんでいました。レトロな機体の曲線は、どこか懐かしさを感じさせるシルエットを描いていますが、エンジン音らしきものは、一切聞こえてきません。 それどころか、聞こえてきたのは、昼間かすかに聞こえたあの不思議な『メジャー和音』だったのです。 しかも、両翼には『お茶処二條園』という文字が見てとれました。 「はぁ? なんでやねン! なんでウチの店の名前が書いてあんねン?!」 今日という長い一日にやっと一段落がついて、これからゆっくり風呂にでも浸かり、その後、発泡酒でも飲んでのんびり休もうと考えていた彼ですが、まだまだそんな時間が持てるのは先の事になりそうでした。 しかし、とにかく今は、事の真相を確かめるためにも、一刻も早く店に帰らなければなりません。 プーッ、プーーーッ 遠慮がちにクラクションを鳴らし、車窓から顔を出した彼は、 「ちょ、ちょっとすんまへんなぁ。ちょっと通しとくりゃす。」 人だかりに向かって申し訳無さそうに声をかけています。 と、そこへ 「あっ!輝ちゃん! あんたどこ行ったはったん?」 「さいぜんからエライことになってまっせ。」 輝斗の姿に気付いた近所の顔見知りの二人が声を掛けてきました。 |
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