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京都二條園2077

かぐや姫以来、初?の京都のSF小説。2077年を舞台にした京ことばによる奇想天外なストーリー。毎週火曜日更新!!はじめてお越し頂いた方は、「第一章・第一話 その1」からお楽しみ下さい。
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第一章・第二話 その4「前ぶれーション」 なんぼなんでも!どこのどなたはんどっしゃろ?

 同じ頃、京都新高速に乗り、上林家を目指し宇治に向かって車を飛ばしていた輝斗もまた、車の中から同じ現象を見ていたのでした。
「.....。今のは、なんやったんや?
銀色のアレは...。なんやったんや?」

 子供の頃から視力にだけは自信を持っている輝斗の目には、瞬時に西の空に消えて行った雲の切れ目の先端に、銀色に輝く星のようなものが見えていたのです。これは彼の家族はおろか、輝斗以外の他の誰の目にも確認されなかった物体でした。

 しばし今の現象について考え込んでいた様子の輝斗でしたが、京都新高速を降り、宇治川沿いの道に差し掛かった時に、見なれた『平等院まで3キロ』という標識を見つけ、今おかれている現状を思いおこしたようでした。
「はぁ~、そやけど今回のこれ、皆に上手いこと説明できんのやろか?」
なんとか集められたとしても、デリケートなお茶の事です。今度は、保管場所の確保や保存方法、加えて輸送手段の問題もでてきそうでした。またしても不安な気持ちがふつふつとわいてきたようです。

「あかんあかん! まずはお茶を集めるこっちゃ...。」
せっかく二條園を出た時には、前向きな気持ちに切り替わっていたはずなのに、彼にとって、あまりにも荷の重い今回の事を、たったひとりで考えていますと、また、ブツブツと悪いクセがでてきてしまったようです。
 
 先程の現象は、のちに二條家の人々には大切な『思い出』となり『前ぶれ』と呼べるものになりましたが、世間一般では目撃者が大変少なかったうえ、写真などの投稿もなかったためか、ほとんど語られることはありませんでした。
なぜなら、その夜のニュースでは、これから京都を舞台に展開する、世界をあっと驚かせる『ある計画』が発表され、そのスケールの大きさに、今日のちっぽけな出来事はかき消されてしまったのです。
 
 さて、一体これからどう展開して行くのでしょう。
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