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京都二條園2077

かぐや姫以来、初?の京都のSF小説。2077年を舞台にした京ことばによる奇想天外なストーリー。毎週火曜日更新!!はじめてお越し頂いた方は、「第一章・第一話 その1」からお楽しみ下さい。
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第一章・第六話 その3「君も宇宙船で働いてみないか」て?

「ザッツライト。」
と答えた武士会長は、さっさと料理をたいらげ、早くもデザートの『笹巻き麩』にとりかかろうとしていました。笹の葉を丁寧にゆっくりと外し、もっちりとした生麩の感触を指で確かめたあと、かぶりつきました。
「あ~っ、モチモチして、ソーデリーシャス!」
口のなかの食感を全身で表現するかのように身体を揺らしながら、味わっています。
「ああ、おいしかった!
ずっとコレが食べたかったんだよ。」
と、あまりに笹巻き麩をおいしそうに食べる会長を見て、輝斗も思わず手に取ったのですが、自分の手に向けられている会長の熱い視線に気付いた輝斗は、自分の分を仕方なしに手渡しました。

「...。これもどーぞ。」
「OH、いいのかい? 輝斗くんはソー カインドだなぁ...。」
と子供のように喜んでうれしそうに食べる会長の姿を見て、輝斗は『お金があっても現地にこな味わえへん貴重なモンなんやなぁ』と、自分がふだん気軽においしい物を食べられる環境にある事をありがたく思いました。

『いやいや、今はそんなことより、明日せんならんっちゅー面接の事をとかんと...』頭を本題に切り替え、
「そやけど、お父ちゃん。面接はワシで大丈夫なんかいな?
なんか審査基準ゆーか、マニュアルみたいなモンはあらへんのか」
 京太郎を見ると、彼もまた大事そうに『笹巻き麩』を手に取り、会長がしていたように指でつっついていました。会長に取られる前に食べてしまおうというわけでしょう。
「ま、そのへんは、村田くんと相談したってんか?
ああそや、これ」
と、求人広告の原稿を袂オアポケットから取り出し輝斗に手渡しました。

『君も宇宙船で働いてみないか?』
~お茶が好きな人なら、誰でもOK~

・募集人員
宇宙船内での軽作業員及び船外でのお茶の販売員   若干名
簡単なロボット操縦者               若干名
調理人                      約一名

・条件
年齢不問(但し未成年の場合、保護者の同意書が必要)
性別不問(老若男女やる気のある方優遇)
その他、健康で明るい方なら誰でもOK

熱いハートの持ち主、ロボットゲームが好きな人、宇宙旅行に
興味のある方、心よりお待ちしています。  船長・二條輝斗

それを見て、さらに不安を大きくした輝斗なのでありました。

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